【税務コラム】令和8年度税制改正で固定資産税はどう変わる?免税点引き上げと住宅特例延長のポイント

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土地や家屋、事業用の機械設備をお持ちの方にとって、毎年の負担となる「固定資産税」。令和8年度税制改正大綱では、物価高への対応として免税点の引き上げが行われたほか、新築住宅の固定資産税軽減措置の延長など、不動産・事業者の双方に関係する重要な改正が盛り込まれました。

今回は、固定資産税の基本的な仕組みをおさらいしたうえで、令和8年度改正の主なポイントを解説いたします。

1. 固定資産税のおさらい

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・家屋・償却資産(事業用の機械や器具備品など)を所有している方に対して、市町村(東京23区は都)が課税する地方税です。
税額の計算式は、原則として以下のとおりです。

税額 = 課税標準額(固定資産税評価額)× 税率(標準税率1.4%)

評価額は3年に1度「評価替え」が行われます。直近では令和6年度(2024年度)が評価替えの基準年度にあたり、令和7年度・令和8年度は据置年度となっています。次回の評価替えは令和9年度(2027年度)となるため、今のうちに準備しておきたいタイミングです。

固定資産税評価替えのスケジュール

年度区分
令和3年度(2021年度)評価替え
令和4・5年度据置
令和6年度(2024年度)評価替え
令和7・8年度据置
令和9年度(2027年度)次回評価替え

2. 令和8年度改正のポイント①:免税点の引き上げ

固定資産税には、課税標準額が一定額に満たない場合に課税されない「免税点」という制度があります。今回の改正では、物価上昇への対応として、家屋および償却資産の免税点が引き上げられます。

免税点の改正内容

区分改正前改正後
土地30万円30万円(変更なし)
家屋20万円30万円
償却資産150万円180万円

加えて、不動産取得税の免税点(土地・家屋)も45万円から116万円へと大幅に引き上げられます。

適用開始時期

  • 固定資産税:令和9年度以後の年度分から適用
  • 不動産取得税:令和8年4月1日以後の取得から適用

特に注目したいのが、償却資産の免税点引き上げです。償却資産税は、機械装置や器具備品、構築物などの事業用資産を所有している事業者にかかる税金で、150万円から180万円への引き上げにより、これまで課税対象だった小規模事業者の方が非課税になるケースが増えると見込まれます。

3. 令和8年度改正のポイント②:新築住宅の固定資産税減額措置の延長

新築住宅には、一定の要件を満たすと3年間(マンションなど中高層耐火建築物は5年間)にわたり、固定資産税が2分の1に減額される特例があります。
この措置は令和8年3月31日が期限とされていましたが、今回の改正で適用期限が2年間延長されることになりました。さらに、要件についても以下の見直しが行われます。

  • 床面積要件の緩和
  • 災害ハザードエリアに係る立地要件の見直し

これにより、これまで対象外だった小規模住宅でも特例が適用される可能性が広がります。住宅取得をご検討中の方は、改正後の要件を確認のうえタイミングを判断することが重要です。

4. 令和8年度改正のポイント③:リフォーム減税の延長・拡充

既存住宅でリフォーム工事を行った場合に受けられる、固定資産税および所得税の減額措置についても改正が行われます。

固定資産税のリフォーム減額措置

耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、長期優良住宅化リフォームを行った住宅について、翌年度分の固定資産税を減額する措置が、令和13年(2031年)3月31日まで5年間延長されます。
床面積要件についても、合計所得金額1,000万円以下の方が対象となる「40㎡以上50㎡未満」の特例が適用対象に追加されるなど、利用しやすい制度に改善されます。

所得税のリフォーム減税

耐震・省エネ・バリアフリー・三世代同居・子育て対応などの特定の改修工事を行った場合、工事費用の一部を所得税から控除できる制度です。こちらも令和10年(2028年)12月31日まで3年間延長されるとともに、床面積要件の緩和や標準的な工事費用相当額の見直しが行われます。

5. 令和8年度改正のポイント④:相続税評価における不動産評価の見直し

固定資産税そのものではありませんが、不動産をお持ちの方に関連する重要な改正として、貸付用不動産の相続税評価方法の見直しがあります。

これまで賃貸マンション等の評価は路線価・固定資産税評価額をベースにしていましたが、相続開始前または贈与前5年以内に取得・新築した貸付用不動産については、取得時の取引価額(市場価格の約8割程度)をベースに評価することになります。
これは、いわゆる「タワマン節税」など、相続直前の不動産購入による節税効果を抑える趣旨の改正で、令和9年(2027年)1月1日以後の相続・贈与から適用される予定です。富裕層や不動産投資家の方には重要な影響がありますので、相続対策の見直しが必要となるかもしれません。

6. 固定資産税の確認方法と注意点

ご自身が所有している不動産の固定資産税評価額は、毎年4月から6月頃に市町村から送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」に同封される「課税明細書」で確認できます。

評価額に疑問がある場合は、納税通知書を受け取った日の翌日から3か月以内であれば、各市町村の固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます。
また、毎年4月には「縦覧期間」が設けられており、ご自身の土地・家屋の評価額を周辺の評価額と比較して確認することができます。次回の評価替え(令和9年度)に備え、現状の評価額を把握しておくことをおすすめします。

まとめ:改正を活かして、税負担の最適化を

令和8年度の改正により、家屋・償却資産の免税点引き上げや新築住宅特例・リフォーム減税の延長など、納税者にとってメリットのある内容が多く盛り込まれました。一方で、相続税評価の見直しのように、これまでの相続対策に影響する改正もあります。
特に以下のような方は、早めの確認と対策をおすすめいたします。

  • 新築住宅やリフォームをご検討中の方
  • 事業用の機械設備(償却資産)をお持ちの法人・個人事業主の方
  • 賃貸不動産をお持ちで相続対策を検討中の方
  • 評価替え(令和9年度)に備えて現状を把握しておきたい方

固定資産税・償却資産税・相続税対策など、不動産や事業用資産に関する税務でご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。お客様の資産状況に応じた最適なアドバイスをさせていただきます。

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